2018年10月公演
ntj_kikin_logo 芸術文化振興基金助成事業 / bunkacho-geijutusai_logo 平成30年度(第73回)文化庁芸術祭参加公演
 

この胸のうちに燃える怒りの焔、
これこそ人間にとってこの上ない禍のもととなるもの。

My wrath is stronger even than my thoughts,
which is the cause of the greatest wrongs of humankind.

タイトル 『MEDEA メデイア』
日時
2018年10月17日(水)19:00
10月18日(木)19:00
10月19日(金)19:00
10月20日(土)15:00 終演後、アフタートークあり。
10月21日(日)15:00

※各回、開演7分前より田中孝弥によります《ビフォアトーク》を行います。

10月20日のアフタートークパネラーが決定しました。
丹下和彦(大阪市立大学名誉教授・古代ギリシア文学者)
田中孝弥(清流劇場代表)
司会:岸野令子(映画パブリシスト)

場所 一心寺シアター倶楽
料金 前売:4,000円
当日:4,300円
ペアチケット:7,600円
U-22:2,500円(22歳以下の方を対象。要・証明書提示)
シニア:3,800円(65歳以上の方を対象。要・証明書提示)
※ペアチケット・U-22券・シニア券は、前売発売のみとなります。

  • 全席自由です。
  • 開演1時間前より整理券を発行、開場は開演の30分前です。
  • 小学生以下のお客様はご入場になれません。
  • 作品上演中のご入場は制限させていただく場合がございます。
  • 会場内での飲食喫煙・写真撮影は禁止です。

当日券のお客様は、開演10分前からのご入場となります。
当日精算券のお客様は、あらかじめお名前とご来場日時・人数・券種(一般・ペア・U-22・シニア)を劇団宛にお知らせください。
ご連絡がない場合は、開演10分前からのご入場、料金は一般前売料金のみのお取り扱いとなります。

お問い合わせ 清流劇場
出演 林英世 / 西田政彦(遊気舎) / 髙口真吾 /
阿部達雄 / 泉希衣子 / 倉増哲州(南森町グラスホッパーズ) /
服部桃子 / 日永貴子 / 立花裕介 / 藤田和広 /
大森千裕 / 東出ますよ
音楽・演奏:仙波宏文
特別協力:森和雄
Hayashi Hideyo / Nishida Masahiko (Yukisya) / Takaguchi Shingo /
Abe Tatsuo / Izumi Keiko / Kuramasu Tessyuu (Minamimorimachi Grasshoppers) /
Hattori Momoko / Hinaga Takako / Tachibana Yuusuke / Fujita Kazuhiro /
Ohmori Chihiro / Higashide Masuyo
composition & piano:Semba Hirofumi
special cooperation:Mori Kazuo
原作 エウリピデス
playwriting:Euripides
構成・演出 田中孝弥
adaptation & direction:Tanaka Atsuya
翻訳
ドラマトゥルク
丹下和彦
translation & dramaturgy:Tange Kazuhiko
ドラマトゥルク 柏木貴久子
dramaturgy:Kashiwagi Kikuko
舞台監督 K-Fluss
舞台美術 内山勉
舞台美術アシスタント 新井真紀
照明 岩村原太
照明アシスタント 塩見結莉耶
照明オペ 木内ひとみ
音響 廣瀬義昭((有)ティーアンドクルー)
小道具 濱口美也子
衣装 植田昇明(kasane)
ヘアメイクデザイン 歯朶原諭子(High Shock)
ヘアメイク 青山智美(High Shock)
振付 東出ますよ
写真 古都栄二((有)テス・大阪)
ビデオ (株)WAVIC
web・制作協力 飯村登史佳
宣伝美術 黒田武志(sandscape)
演出助手 大野亜希
協力 (有)ウォーターマインド / (有)ライターズ・カンパニー / イズム /
(株)MC企画 / (株)舞夢プロ / 堀内立誉 / 佐々木治己 / 川口典成 /
嶋田邦雄 / 山下智子 / 森岡慶介 / 居原田晃司
提携 一心寺シアター倶楽
制作 永朋
企画 清流劇場
◆ 作家紹介 profile
エウリピデス Euripides
(紀元前480年(『エウリピデス伝』『スーダ辞典』による)~紀元前406年)

ギリシア三大悲劇詩人の一人。
父親ムネサルコスと母親クレイトの間に生まれる。父親は貧しい行商人。母親は市場の野菜売り。アテナイ市もしくはその近くのサラミス島で生まれたとされる。はじめは格闘技の選手を目指すが、のちに精神的世界へ関心を示し、プロタゴラスに修辞学を、ソクラテスに倫理学と哲学を学ぶ。アナクサゴラスへも師事するが、彼の学説が「太陽神アポロンへの不敬」とされ、政治的迫害を受けたのを機に、悲劇作家に転身する。その作風は革新的であり、伝統的な悲劇の世界へ知性と日常性を導入した。作品様式面では「機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)」という劇作技法を多用したことが特徴的である。紀元前408年、マケドニア王アルケラオスに招かれ、都(ペラ)へ赴く。紀元前406年、マケドニアで客死。
劇壇のライバル・ソポクレスは訃報に接し、丁度競演会の予備行事の場にいたが、喪服に着替えて弔意を表したという。
その容貌については「そばかす、濃いあごひげ」との短評あり。作品は三大悲劇詩人の中で最も多い19編が残存している。
主な作品:『メデイア』『ヒッポリュトス』『エレクトラ』『タウロイ人の地のイピゲネイア』『ヘレネ』『オレステス』『バッコス教の信女たち』等


◆ あらすじ synopsis
わたしにだって、自分がどれほどひどいことをしようとしているか、わかっている。
I know well what evil I am about to do.

(物語の前段)ギリシアの町イオルコスの王子イアソンは、伯父ペリアスに簒奪された王位の返還を求める。ペリアスは返還の条件として、黒海東端の地コルキスから金羊皮を奪取してくることを要求する。イアソンはコルキスへ赴き、その地の王女メデイアの愛と協力を得て、金羊皮の奪取に成功し、彼女を連れて帰還する。しかし、ペリアスは王位の返還にも応じず、その上、イアソンの留守中、彼の両親を殺害していた。イアソンはメデイアの力を借りて、ペリアスを殺す。ところが、これが市民の反感を買い、イアソンとメデイアは子供たちを連れて、国外亡命を余儀なくさせられ、コリントスに流れてくる。
(物語の本編)舞台はコリントス。イアソンは、メデイアという苦労をともにしてきた妻がありながら、これを裏切ってコリントスの王女クレウサと結婚する。コリントス王クレオンは、メデイアの聡明さと魔術を用いる力を知っており、彼女から夫を奪い取った娘の身を案じる。そして、メデイアとその子供たちへ、今すぐ国外退去するように命じる。
メデイアは「子供たちをどうするか、考えるため一日の猶予を」と嘆願し、許可を得る。しかしそれは、復讐を実行するための時間稼ぎだった。とはいえ、メデイアは、復讐計画を実行する前に、自分の身柄を保護してくれる受け入れ先を確保しなければならない。彼女は逃亡先が決まるまで、計画の着手を待つことにする。
そこにアテナイ王アイゲウスが訪れる。メデイアは彼に自らの窮状を訴え、助力を乞う。世継ぎが生まれず、悩んでいたアイゲウスは「子宝に恵まれる薬草を教えること」を条件に、メデイアの受け入れを承諾する。
逃亡先を確保したメデイアは、いよいよ復讐―子供殺し―へと動きはじめる…。


◆ 田中孝弥よりご挨拶
人間の言葉
清流劇場では、古代ギリシア文学者・丹下和彦先生のもと、ギリシア劇の勉強をしていますが、その作品群に登場する人物たちには、いつも勇気づけられます。
「人間が生きるということの崇高さ」も、もちろん描かれてはいるのですが、何より、「人間などそんな美しいものではない」ことを教えてくれているからです。
おおよそ2500年も昔に書かれた作品の中に、ボクたちは自分の弱さや愚かさを見つけます。
過ちを繰り返しながら、それでも尚、登場人物たちは自分自身の明日へ期待し、生きてゆきます。

今回の主人公メデイアもわかっていながら、復讐?子供殺し?に乗り出します。
子供殺しは異常なことですが、それが起きるのに特別な条件が必要なわけではありません。
いつでも誰の心にも潜んでいる魔性、それがふとした折に顔を覗かせるのです。
子供殺しを肯定しているわけではありません。
ただ人間には、わかっていても、抑えられない感情というものがあります。
それを悲劇詩人エウリピデスは『メデイア』の中で描いています。
メデイアは言います。
「わたしにだって、自分がどれほどひどいことをしようとしているか、わかっている。」
わかっていても、「わからなかった、知らなかった」と言い張る人たちより、余程、人間の言葉であり、信用できます。
喜劇詩人アリストパネスは『蛙』という作品の中で、エウリピデスに「(登場人物は)人間の言葉で話すべきだ」と言わせています。
エウリピデスの作風を言い表したこの言葉、そして彼の書いた『メデイア』を読み進めるにつれ、ボクはボクたちが生きる社会について考えさせられます。
「人間らしくない言葉」が溢れ、それがまかり通る現代社会において、エウリピデスがボクたちに語りかける「人間の言葉」は、秋霜のように厳しくもあり、しかしながら春風のようにボクたちを包み込み、勇気づけてくれている。
そんな気がします。
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