2001年12月公演
扇町ミュージアムスクエア協力公演
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タイトル 『約束のヒト』
日時
2001年12月7日(金)19:30
12月8日(土)15:00 / 19:30
12月9日(日)14:00 / 17:30
場所 扇町ミュージアムスクエア
出演 武資子 / 船戸香里 / 谷川未佳 /
中川浩三 / 白井哲也(PM/飛ぶ教室)
作・演出 田中孝弥
舞台監督 永易健介
照明 岩村原太
音響 金子進一
舞台美術 B.flow
宣伝美術 天音比佐
舞台写真 石川隆三
ビデオ 坂口高志
制作協力 柳澤尚樹
協力 (株)リコモーション / PM/飛ぶ教室 / 山下りき / はしぐちしん /
鈴木俊啓 / 菅本城支 / 金哲義 / 足立寛和 / 湊和代 / 岩崎真代 /
クオークの会 / M.C.S. 他
タナカのささやき 「あなたは運命の人です」と言われた。
「運命って」とボクは聞き直した。
運命の人なんてそうそうお目にかかれるモンじゃない。
勿論、ボク自身、一目惚れはある。恋多き男であるから。
しかし「運命の人」だなんて思った人は、ナイ。
だからこそ、そんなことを言えるその女性を疑った。
「運命とはいったいどんなモンなんやろか?」と問うてみた。
そして、「運命の人」と彼女の口からついて出たコトバにチカラはあるのだろうか?とも思った。
彼女は言った。
「運命の人っていうのは、もうあなた以上に他に好きになる人なんて現れないっていうこと」。
「なるほど、ありがたいことやなあ」。るんるん。
同じように「親友」というコトバがある。
字の如く「親しい友」と解したならばボクにも何人かはいるが「親友」となるとそうはいかない。
「親友」には何か[+α]が必要だ。
ボクに「親友」と呼べる友がいるか?そして「運命」を口にした彼女に。
彼女はその問いかけに答えなかった。
何故答えないのかと気になったが、ボクにはそれ以上に気になっていることがあった。
それは“ボク自身”である。気が小さく薄っぺらで、くだらない差別や区別の境界線を引いて、自ら生きにくく生活しているボクを、彼女は一体、どの辺りを指して「運命の人」と呼んだのだろうか。
そのことの方が気になっていた。
だけど、ええコトバやなあ。「あなたは運命の人です」。
彼女のコトバに少し照れながら軽くスキップなんてしてしまうボクと、やっぱり、何で?と疑うボクがいる。
「運命の人」。彼女の口からついて出たコトバが今も心に残っている。
あのコトバにはやっぱりチカラがあったんだ!
いや待て、単にボクは嬉しくて舞い踊っとっただけなんちゃうやろか?
 え、ひょっとして今もまだ踊っとるんとちゃうやろか?
「運命の人」:あのコトバにチカラがあったのか?
これが今回のボクが作品を書くモチベーションである。
そういや、ボクにとって「運命の人」がいる。父と母である。
ええ加減ええ年齢になっても、お芝居やってるバカ息子の親である。
ごめんなさいね、父上さま、母上さま。
あらすじ 舞台は日本海側にある山村の湯治場。
一つの家族、五人兄弟姉妹の間で、村最大の財源である湯治場の運営をめぐり、対立が起こる。
保守的な兄と革新的な弟、また全く違うベクトルで家族を思う姉妹。
それぞれが相手の理屈もわかるし、でも自分にも正義がある。
お互いに矛盾した自分を抱えながら、五つのベクトルが交錯する。
そしてその果てには、「愛」や「憎」では語ることの出来ない、どうしようもない『血』の繋がりが浮かび上がってゆく。
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公演に寄せて 今年は2月に秋田雨雀さんの作品「国境の夜」と「骸骨の舞跳」の二つを芸術創造館で、上演させていただきましたし、8月にはブレヒトの「処置」を富山県の利賀村で上演する機会を与えていただきました。何かと自分の書いた作品以外のモノを上演する機会に恵まれた、いい年だったように思います。
そして、今年最後を締めくくる作品はボクの新作「約束のヒト」です。
「約束のヒト」はノルウェーの劇作家・イプセンの「人民の敵」という作品から想を得て、戯曲を書き始めました。
イプセンの作品もブレヒトの「処置」と同様に、人間のどうしようもない葛藤や矛盾が描かれています。
「人民の敵」はノルウェー南部のとある海岸の町を舞台にしていますが、その背景をちょいとばかり拝借して、ボクなりの作品を創ってみようと思います。
「約束のヒト」の舞台は日本海側のとある山村。湯治場です。
一つの家族、兄弟の中で、その湯治場の運営を巡って対立が起きます。相手の理屈も分かるし、でも自分にも正義がある。お互いに矛盾した自分を抱えて生活している家族・人々を描いてみようと思います。
お楽しみに。
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